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リッこら

Re:ALL製作委員会は一枚岩ではありません。日々委員どうしが小首を傾げ合いながら 冊子を作っています。彼らは一枚岩というよりはむしろ、ガラクタの山のようです。どんなガラクタが埋まっているのか。とにかく委員それぞれが好きなものを書きたいということで始めたコラム、気が向いたら読んでやって下さい。ひょっとしたら、使えるガラクタがあるかもしれません。

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リアリティとエンターテインメント

 先日、TVで映画「バトルシップ」が放送されていました。私はあまり映画を見る質ではありませんが、「バトルシップ」は1年前くらいにツタヤで借りて見て気に入っています。そんなわけで、放送されていた「バトルシップ」も見ました。ホッパー大尉とナガタ一佐の関係は王道ですし、戦艦ミズーリのジジイ共の登場シーンはいつ見ても燃えます。ジョン・ポール・ジョーンズにしろ、ミズーリにしろ、あらゆる火器を動員した一斉射撃の迫力は心を熱くさせます。端的に言って最高でした。
 しかし、「バトルシップ」視聴後、驚きました。制作費の割にアメリカでの興行収入は振るわず、批評家による「バトルシップ」に対する評価は散々なものであるということを今更ながら知ったからです。好きな作品が酷評されるというのは多少寂しく感じるものです。それはともかくとして、批評家という人達が具体的にどのような評価をしたのか知りませんが、酷評したこと自体は分からないではありません。はっきり言ってこの映画においてストーリーというものは無いといって良いと思いますし、リアリティとかそういうものもありません。芸術とかそういう観点から見て評価される様な映画だとは個人的に感じないです。「バトルシップ」は、何も考えずにただただ熱くなればいいんだと私は思っています。
まあ、何も考えずといっても、そういうわけにもいかないのが人情、気になる部分というのは出てきてしまいます。例えば、記念艦として保存されていたミズーリがすぐに戦闘可能な状態に戻され、弾薬の補給も迅速に行われたことです。ミズーリは1992年に退役し、1999年より博物館として公開されていますから、少なくとも10年以上動いていません。そんな艦の機関が大規模な整備もなしに動くのかという疑問が湧きますし、また軍艦の機関というのは1からの始動に数時間かかると聞きます。弾薬に関しても、主砲の50口径40.6センチ砲は現在米軍では使われていません。使っていない砲の弾薬がすぐに多数を持ち出せるような状態にあるとは思えませんし、弾頭だけで1t程度ありますから運搬するだけで多大な苦労が発生します。しかし、こんなことは、見ているとすぐにどうでもよくなります。行き詰っている主人公達の前に堂々とした足取りで現れるミズーリ元乗員のジジイたち、盛り上がるBGM、否が応でも湧き上がる先の展開に対する期待感、そういったものの前では考証の細部に対する不満など些細なことでしかないのです。それを吹き飛ばすような勢いが(酷く大雑把な物言いですが)、「バトルシップ」にはあるのです。もちろん細部の考証を無視して良いと言っている訳ではありません。ミズーリ出撃のシーンにしても、機関に点火する動作や主砲の装填手順を一段階ずつ踏んでいく動作が作品内の空気を盛り上げるのに一役買っていることは確かです。
どこまでリアリティを求め、どこまでエンターテインメントを求めるのか、ということは非常に難しいことのように思います。もちろん両者が両立することもあるかと思いますが、史実が絡む戦争ものでは中々に難しいように感じます。一部でも戦争のリアルさを追求するということにはどうしても人に生き死にやそれに伴う不条理が絡みますし、戦争というのは退屈になるような膨大な準備上に成り立っているからです。例えば、最近の話だと「フューリー」が分かり易いかと思います。独戦車ティーガーと3両の米戦車シャーマンとの戦闘のシーンなど燃える場面も一部ありますが、全体として戦争のエグみ(残酷さではなく)が濃縮されています。シャーマンなどの兵器面での考証のみならず、捕虜殺害という現実や民間人と軍人との関係性を非常に細かく描いています(もちろんフィクションなので恣意的なリアリティでしかないですし、映し方の問題もある訳ですが)。逆に「バトルシップ」おいては死者の存在に焦点がほとんど当たりませんし、ミズーリ出撃に要する準備は現実よりはるかに端折られています。でもだからこそ、純粋なエンターテインメントとして楽しめるのではないかと思います。
とまあ、長々と語ってきましたが、要は実在兵器が出てくるバカ作品が好きでして、面倒臭いこと考えずに楽しみたいよねというお話でした。よく考えたら、このコラムで私が度々口にする「ガールズ&パンツァー」もそういった作品ですね。戦車戦を高校生競技としてご都合設定を盛りまくって爽やかなものに落とし込んでいるわけですから。
(今年冬の劇場版ガルパンが楽しみで仕方がない3年生高野正俊)


 非常に遅まきながら一応、「バトルシップ」がどんな映画か説明しておくと、2012年ハワイにて行われている環太平洋合同軍事演習リムパック中に宇宙から正体不明の物体がハワイ沖に落下します。落下物の正体を確認するために主人公ホッパーが乗り組む米海軍駆逐艦ジョン・ポール・ジョーンズ、主人公の兄が艦長を務める同サンプソン、主人公と犬猿の仲であるナガタが艦長の海上自衛隊護衛艦みょうこうの3隻が派遣されますが、突如落下物からバリアのようなものが展開され、3隻は通信面、物理面で孤立してしまいます。そして、隔絶された状況下でホッパーとナガタの共闘が始まる!とかそんな感じのあらすじの映画です。他に主人公の恋人のお話とかチキンブリトーとか色々ありますが、ぜひ「バトルシップ」を見て確かめてみてください。(上の方で若干ネタバレしてるのは許してください)
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