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リッこら

Re:ALL製作委員会は一枚岩ではありません。日々委員どうしが小首を傾げ合いながら 冊子を作っています。彼らは一枚岩というよりはむしろ、ガラクタの山のようです。どんなガラクタが埋まっているのか。とにかく委員それぞれが好きなものを書きたいということで始めたコラム、気が向いたら読んでやって下さい。ひょっとしたら、使えるガラクタがあるかもしれません。

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掃除レポート



突然だが皆さんは掃除好きだろうか。日常的に部屋を片付けたり、モノをあるべきところに収めたりしているだろうか。

私は昔から掃除が苦手である。というか掃除が好きではない。大体、動かなくても手の届く範囲にモノがなければ、狭い部屋にいる意味がないと思うのである。下手に片付けてしまったら(!)せっかくの快適ライフが失われてしまう。よくわからない写真や置物を飾っておけばわからないなりに部屋を彩ってくれるし、ベッドに付いている棚に本を重ねておけばいつだって本が読める。たくさん積み重ねれば重ねるほど崩落の危険も増し、快適な中にもほどよい緊張感が生まれる。重なりの微妙なバランスを楽しむなんて、ちょっと梶井基次郎の『檸檬』を想起させる気がする。文学的空間も演出できるというわけだ。また、床に服を積み重ねておけば、洗濯したものをいちいち箪笥に入れる手間が省ける。そこから服を選べば選択肢も少なく、今日の服はどうしようなどと思い悩む必要はない。

かくいうわけで私は普段部屋の掃除をしない。しかし上(家族)からの圧力がかかるといたしかたない。ここをやりすごそうとすると集中咆火で口撃されるのはわかっているし、それは避けたい。それに、こんな私でもごくたまーに掃除でもしてみようかなと思い立つときがある。

そんなとき、ふと冷静に自分の部屋を眺めてみる。机の上ではファイルが重ねられて、落ちんばかりになっている。床の上には服だけでなく、よく使うバッグとむだ紙が放り出されている。もう6月だというのにヒーターが当然のように置かれている。さらにカーテンを開けると、なぜかベランダに手作りのベンチが居座っている。
……なんなのだ、これは。家族から女らしくない、と言われるのも当たり前である。「それっておとこらしいってこと?かっこいいかも!」などと脳内変換していたなんて本物のバカである。すぐに掃除に取りかからねば。

まず目に入るのは大きなプラスチックの箱である。半透明なため、中身がよく見えない。大きさは45×60cmくらいか。これの中身を整理して、空いたところにいらないものを詰め込めば、かなりすっきりするに違いない。さっそく箱を開けると……。

・絵具(一回も使ったことがない。そもそも包装が解かれていない)
・お手玉(一度に扱えるのは2個まで)
・貝殻(後生大事にハンカチに包まれている。しかし特にこれにまつわる思い出はない)
・ポケモンカード(すごくハマっていた。今でも好きだ。しかし周りに好きな人がいなかったので1人で遊んでいたように思う)
・クレヨン(あまり使ったことはないが匂いは強い。箱を開けるとクレヨン色に空気が染まるといえば聞こえはいいか)
など

 … … …
我ながらいったい今までどんな人生を過ごしたらこんなものが残るのだろう。少しため息をつきつつ最後のモノを引っ張り出す。

出てきたのは手紙の束だ。小学生時代のものが中心になっているようだ。思わず見入ってしまう。1つ1つを読んでいく。このイチゴ模様の封筒は、小学1・2年生のころ通っていた学校の友人だ。私は転校が多く、もはや居場所が分からなくなってしまった人がほとんどだ。おそらく、その人たちとはもう会えないだろう。しかしこの手紙を眺めていると、確かに一緒にいたことを感じられる。たまらなく懐かしくなる。手紙だけじゃ物足りなくて、写真も探し始める。

気づけば夜だ。昼過ぎに掃除を始めたのにぜんぜん進んでない、むしろ散らかったように見えるのはなぜだろう。ぼんやりしていると、不意に以前も似たようなことがあったことを思い出した。そうだ、以前掃除をしたときも思い出に浸って半日が過ぎたのだ。そしてまた、今回も……。

さすがに慌てて床にある紙やバッグを片付ける。たったこれだけで部屋はだいぶすっきりした。箱を開けるよりはるかに効率がいい。

ちょっと片付いたことに満足して夕食に向かう。部屋に戻ればいつもより少し床が広くなっている。そのために1日費やしたような気になってきて、言いようのない充実感すら覚える。ひとはこれを「ひとりずもう」あるいは「自己満足」とよぶだろうか。しかしそれでもいい。私はきっと掃除に向いていないのだ。とりあえず、収入を得られるようになったらルンバを買うことが今の私の夢である。その頃にはぜひ、平面でなくても機能するよう進化していてほしい。

                        
                         佐藤真里

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