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リッこら

Re:ALL製作委員会は一枚岩ではありません。日々委員どうしが小首を傾げ合いながら 冊子を作っています。彼らは一枚岩というよりはむしろ、ガラクタの山のようです。どんなガラクタが埋まっているのか。とにかく委員それぞれが好きなものを書きたいということで始めたコラム、気が向いたら読んでやって下さい。ひょっとしたら、使えるガラクタがあるかもしれません。

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ブロマンスのすすめ

「ブロマンス」という言葉をご存じだろうか?
「brother(ブラザー)」と「romance(ロマンス)」の合成語として「bromance(ブロマンス)」という単語が生まれたのは、1990年代のことだ。アメリカのスケートボード雑誌「Big Brother」編集者のデイブ・カーニーは、仲の良い男同士を「the relationship between skate-buddies who spent lots of time together and/or shared hotel rooms on road trips. (四六時中いっしょにスケートボードをしているような関係、または、旅の道中同じホテルの部屋に泊まるような関係)」と表現し、この関係こそがブロマンスだとした。そして2007年には、「The Age」の編集者エリオット・ティムが、記事内でブロマンスの定義を「a close but nonsexual relationship between two men. (親密で、しかし性的ではない男同士の関係)」と述べた。
なお、現在ブロマンスは広義的に「男同士の絆や特殊な関係、またはそのありさまを描いたもの」として受け止められている。親友、兄弟、相棒、果てはライバル同士や義兄弟、師弟、主従などその有効範囲は広い。

さて、日本ではまだ普及しきっていない「ブロマンス」であるが、実は海外では広く認知され、大いに支持を受けているのである。
「兄弟」もののブロマンスとしてアメリカで最も人気が高いドラマ『Supernatural(スーパーナチュラル)』は、本国にて催された「the People's Choice Awards」にて、「Favorite TV Bromance」「Favorite Sci-Fi/Fantasy Show」「Favorite Sci-Fi/Fantasy Actor」の三部門でトップを冠した。まずそんな賞があることが驚きだ。ここまで『Supernatural』が支持を受けるのは、ストーリーの根幹に、なにをもってしてもゆるがない、徹底的な、むしろやり過ぎに思えるほどの「兄弟愛」を据えているからである。過酷な運命をたどる兄弟と、その閉鎖的・偏執的な関係。家族という切っても切れない血縁関係の妙を惜しげもなくみせるという点で、脚本の勝利ともいえるだろう。
また、イギリスの放送局BBCにて2010年から放送している、ドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』では、現代版シャーロック・ホームズというコンセプトのもと、ベネディクト・カンバーバッチ演じるシャーロックと、マーティン・フリーマン演じるジョンとの強固な絆が綿密に描かれている。ふたりはなんと、ロンドンのタウン誌に掲載された「London's top ten couples」において、英国王室のウィリアム王子夫妻を差し置いて堂々の1位に選ばれた。同メディアは、「あらゆるところに二人が慕い合っている痕跡を見つけることができる」と述べ、さらに「シャーロックはジョンを、ジョンはシャーロックを必要としている(Holmes needs Watson; Watson needs Holmes)」と断言し、二人の関係こそが「真実の愛(true love)」だとつづった。

『スター・トレック』において、宇宙船エンタープライズ号のカーク船長とスポック副長のバディはブロマンスとして名高い。スポックにはこんな名言がある。「I have been ... and always shall be ... your friend.(たとえ死んでも私は永遠にあなたの友人です)」。
映画『キャプテンアメリカ ウィンター・ソルジャー』にて、記憶を失った親友バッキーにキャプテンアメリカはこう言う。「I'm with you till the end of the line.(最後までずっと一緒だ)」。
『トイストーリー』の挿入歌「君はともだち」では、「And as the years go by / Boys, our friendship will never die / You're gonna see / It's our destiny / You've got a friend in me(時が流れても変わらないもの/それは俺たちとの絆/君はともだち/いつも俺がいる/君のそばに)」と高らかに歌い上げられている。

 今日、世界は変容の嵐の中にある。途絶えることのない技術革新、波立つ世界経済、外交関係の緊張……。目に見えるもので「不変」を体現しうる存在は希少であり、日本の「諸行無常」観に似た思想が、ややマイナスの意味を伴って世界に広がっているように思われる。
だからこそ今、ブロマンスが必要とされているのではないだろうか。作品の中、どんな困難に見舞われても、彼らの友情は貫かれる。そして彼らは、目に見えないたしかな友情掲げながら、「永遠」を誓うのだ。
たとえ死んでも、最後まで、ずっと、一生、何があっても……。そんな言葉をまやかしだと一蹴するのではなく、この不安定で流動的な世の中の励みにする。ブロマンスの意義は、そこにあるのだろう。


近江 由圭
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